インドの森林

インド

はじめに

TGIFは、インドの森林関連事業に関わることがこれまで多かったです。初めて仕事で行ったのが2001年。2005年~2010年位は、結構、インドにいました。その後、間が空きますが、数年前(2017年)にも滞在していました。

ここでは、インドの森林の概要というよりは、森林絡みで、「へぇ~」と言った話や「日本だと、あまり考えられないなぁ」という話を独断と偏見であげてみました。

 

インドにおける森林の定義

インドの森林や林地は古くから、部族と呼ばれる原住民(現在は指定部族と区分されている)が森林資源に依存して生活していてました。19世紀以降のイギリス植民地時代からの近現代にかけて当局はこれら原住民の伝統的な権利や森林の利用権を奪ってきました(国有林地も時の為政者の都合で、後から設定された境界区分です)。ちなみに、各州の森林局は、林地の執行官(law enforcement officer)、即ち、林地の司法・警察みたいなもので、州によっては、森林官が拳銃や銃を携行しています。

2000年代にはいり、これら指定部族や住民の森林資源に対する権利を復活させようという動きがでてきて、住民の権利等を保障する法律や制度が整備されるようになりました。そのような背景もあり、インドでは、森林、国有林地、森林資源に係わる争いや訴訟が今でも絶えないようです。
そのため、インドでは、「森林」の定義について、インドの最高裁判所がわざわざ、定めて、命令として発布しています。でっ、その定義とは「森林とは辞書に書いてあるとおりの意味である」となっています。
いやはや、インドというべきか、個人的には、「へぇ~」より「はぁ? 一国の裁判所がそんな判断するの!!」と思ってしまいました。

 

林地と森林被覆

どうやら、インドの人は、土地利用や国有林管理のような事を業務として担当している役人であっても、土地の法定区分とか境界の意義、必要性や重要性についての認識が希薄なようです。
よくインドに行っていた2000年代半ばごろ、インドでは2012年までに国土の1/3を森林もしくは樹木で被覆させようという目標があり、森林被覆を増やすことが、絶対的な義務の一つのような風潮があります。当時の、実際の森林・樹木被覆率は、20%代前半で、2012年までの目標達成意は無理でした。ただ、今でも、国土の1/3は森林で覆うという目標は活きており、これが、各州で1/3以上の目標となっています。ただ、インドは広いので、地形や気候的制約から森林が成り立ちにくい州や地域も当然あるので、全ての州が30%の被覆率を達成するのは現実的ではないと個人t系には思っています。

森林・樹木被覆率の把握のために、Forest Survey of Indiaという政府の機関が2年に一回、インド独自で打ち上げた衛星の画像を解析して、全国の森林・樹木被覆を算定しています。ただし、この森林・樹木被覆は、どのような区分の土地の被覆があるかは解析していなくて、農地でも私有地でも、判読・解析基準に合致すれば、森林・樹木被覆と判定されていて、必ずしも森林局が管理する国有林地内の森林被覆を示しているわけでありません。また、国有林地といっても、気候特性等から森林など存在せず、現状は裸地や草地の林地もあります。

そんな状況は十分に知っているはずだとは思うのですが、森林局の森林官や土地利用や土地区分を解析する公的機関の人間でも、
「森林被覆のほとんどは、国有林地内だから、森林被覆の位置・面積と国有林の位置・面積には大差がない」
なんてことを平気で言ってきました。この2つは同じものではないし、そもそも、国有林の境界が、はっきりしているようで、はっきりしていないから、いつも苦労していたのですが。

インドの歴史等を踏まえると、土地の所有や利用に関する権利が複雑なこともあるのでしょうが、林地の境界とか、所有・権利・管轄区分と森林被覆を同一に捉えることに疑問を感じないそのメンタリティーには、ある意味感心してしまいました。

2006年頃、上記のような発言をよく聞かされていたのですが、10年以上経った2017年でも、某州のそれなりの立場の森林官が、同じような発言をした時には、さすがに、苦笑するしかなかったです。

最も、森林被覆を増加させるという観点だけで言えば、国有林地だろうが、民有地だろうが、関係ないのでしょうけどね・・・

 

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